本作の撮影当時の思い出がありましたら、教えてください。
この映画は私の初の長編映画です。映画に関連する全ての瞬間が今でも鮮明に記憶に残っています。思い出というよりは、大切に思っているのはあの時に私が感じた感情と映画に対する意志、決心です。
「ちゃんと映画を撮りたい」「映画の中の主人公たちが観客に近い友達のように感じてもらいたい」「大げさにするのはやめよう」「知ったかぶりをしない」「カットを分けるときは確かな理由がなければ」など…
撮影が終わって家に帰ると、ノートを広げてそのような考えを紙いっぱいに書いて眠りについたりしていました。とても大切なデビュー作でしたので。
本作を撮ろうと思ったきっかけを教えて頂けますでしょうか。
今でもそうですが、この映画の制作当時、若い女性たちが主人公の映画がほとんどありませんでした。そうしたことが私に火をつけたような気がします。私は高校を卒業した二十歳の女性たちがどうやって社会生活を始めるのか、また、そうしたことによる友人関係はどうやって変化していくのかを見せたかったのです。
そんな映画を劇場で一度も見たことがないという事実が私に大きな勇気を与えてくれました。長いこと、常にそばにあった一つの世界を映画という媒体を通じて現実になることを望んでいました。
韓国でも20周年に合わせ再上映がありましたが、最初に公開された時と、再上映された時の観客の反応の違い(同じなのかどうか)などありましたら教えてください。
全ての映画が20年後に再公開されるわけではありませんよね。本作をもっと誇らしく思うことにします!
昨年、再公開した日にぺ・ドゥナ、イ・ヨウォン、オク・チヨンと一日中舞台挨拶に回りました。
その日、映画が長いこと記憶されている理由は俳優にあるのだと実感しました。出演俳優たちが今でも活動していることで、この映画が強い生命力を持っているのです。俳優たちが20年ぶりに映画を見て一番よくしていた話が“あの頃すごくかわいかった”です。当時は自分がどれほどかわいいか、美しいかよくわからなかったと言っていました。
もしも、この映画を初めて見るという二十歳くらいの観客の方々がいましたら、俳優たちの20年前の姿を見るということがどういう感じなのか聞いてみたいですね。
最期に、4Kデジタルリマスター版をご覧になる日本の観客へ、メッセージをお願い致します。
これまでフィルムを見てくださった皆さまにも是非新たに見てもらいたいです。本来の私の映画的意図に最も近い映画がまさにリマスター版です。
『子猫をお願い』はデジタルリマスタリングを通じて二度目の人生を歩むことになりました。
二度目の人生の一歩を、日本の皆さんと共にできてとても嬉しいです。これまでも本作を愛してくださってありがとうございます。またもう一度、子猫をお願いします!